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【訪問看護職員(在宅)の体験談】実際に働いている人の声を聞いてみた

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介護保険の中には、訪問看護のサービスもあり、看護師が医療の必要な利用者さん宅を訪問し、医師の指示に基づき療養上の世話や医療処置などを行います。近年、在宅にも医療が必要な重度の利用者さんが増えてきているため、訪問看護師の役割も大きくなってきています。

今回は、在宅療養を支える訪問看護師の体験談をお伝えします。

老老介護の現実に直面し・・・

訪問看護師として働いて10年以上の経験のあるAさん。長年大学病院の現場で看護師として働いていましたが「家に帰りたい」と入院中の多くの患者さんの言葉を聞くうちに、在宅療養をサポートしたいと考えるようになり、訪問看護の道を選んだと言います。その長い訪問看護の現場の中で、今でも忘れられないできごとがあると話をしてくれました。

自宅で老衰期を迎え、ほぼ寝たきり状態となった80代後半のSさんは、同い年の妻の世話や介護サービスを受けながら、何とか在宅生活を続けていました。しかし可能な限りの介護サービスを入れても、本人の全身状態の低下や高齢の妻の介護力にも限界が近づいていたため、Sさんの呼吸状態の悪化に伴い主治医の判断で入院することになったのです。

その後入院中 の妻から病状を報告する電話が入りましたが、その時に「チューブだらけになった夫の姿を見て涙が出ました。」との言葉が聞かれました。あの時入院しないで、何とか在宅で療養できる方法がなかったのかと、今でも考えることがあります。

閉じこもりの利用者さんを外の世界にに・・・

訪問看護師として働くBさんの体験談です。1戸建て住宅に、3世代で暮らすKさん宅を初回訪問したのは、今から5年前のこと。自宅の玄関を開けると、目の前にある襖に、大きなつっかい棒がされていることにビックリ!同居のお嫁さんが、そのつっかい棒をはずし襖を開けると、そこに無表情で座るKさんがいたのです。

話によれば「日中ひとりなので、認知症のあるKさんを家の中で自由にしておくと危ないから・・・」という理由から、いつもこのようにしているとのことでした。そしてその日を境に、訪問看護の定期的な訪問がスタートしました。

健康面での観察や体調管理を行なう中で、Kさんの急激な認知症状の悪化の大きな原因が、脱水症状や低栄養からくるものであることがわかり、家族に対する食事や 水分等に対するアドバイスなどもあわせて行うようになりました。

その後担当ケアマネや家族との話し合いの中で、Kさんのデイサービス利用に向けての検討がされ、利用のための準備も始まりました。以前は近所付き合いも良かったというKさん。

長い間自宅の居室の中だけで過ごすまさに閉じこもりの生活が続いていましたが、週3回のデイサービス利用により他者との交流の機会ができ、少しずつ穏やかな時間を取り戻すことができたのです。Kさんを社会参加の場へとつなげることができ、今振り返ってみても良かったと思う援助ができたと思っています。

まとめ

病院や施設とは違う利用者の在宅生活を支える訪問看護師には、年々医療ニーズやサービス面、ターミナルへの対応など、求められるものがより高くなってきています。

今後ますます増えて来る医療依存度の高い利用者さんが、自分が望む在宅で生活していくためには、医療面を支える訪問看護師の存在は、大きくなっていくことでしょう。

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